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【fake star】
フェイクスター

君と笑ってた頃が懐かしい 見つけたばかりの星を指差して
そんな夢を語る時ももう過ぎたのかな 今はひとり夜空の下
どれだけ歩いて進んでも 近づいた気がしないのは
暗闇に浮かぶあの星が 自分の星じゃないからかもしれない


君と手を離したとき この世界は終わったはずだったんだ
なんかやけに そんなことを最近思い出したりしている
でもおかしいな そこからまだ続きがあったようだ
あの時僕は死んだのかもしれない そしてまた生まれたんだ

そうしてようやく気づいた こんな僕にだって
やらなければならないことが 残っているんだってことに

時を越えて輝き続ける 名前のない星をひとつ借りてきて
こっそり自分の名前をつけた 夢を描いた旗を突き刺して
信じ続けていれば 偽物もいつか本物になるのかな
もうそうやって 生きていくしか道はないみたいだ


時が経って僕は 諦めても良い理由を欲してしまったのだ
あの頃は良かったなと 思い出話になるのも悪くないよな
それでも心に灯っていた 灯台はいつまでも光線を放って
ずっと同じ道を示していた 暗い海原の向こう側へと

諦めのいい人間ならば 何度諦めても懲りないってことだろう
いつの日か 諦めた理由すらまた忘れてしまうんだ

あの星の光は いつも同じ等級じゃないように思える
やけに明るく見えたり かと思えば見えない日があったり
どうやら今更 引き返したって同じところまで来たようだ
あの星が偽物だとしても すがり付いて生きていくしかないようだ
【dear sonic strike】
dear sonic strike

不思議な高揚感と共に ひとり歩いていく帰り道
耳鳴りがまだ騒がしくて 今は何にも聴こえない
口ずさむ新しいメロディー 産まれた瞬間から
何度も繰り返し口ずさむ 忘れてしまわないように

夜も眠らないで 紡いでいく知っている言葉たち
誰かの真似にならぬようにと だけど多分分かっていた
大事なことなんて もうすでに歌い尽くされている
それでも紡ぐしかなかった 僕は僕の知っている言葉で

誰のために歌う? 何のために歌う?
突きつけられたのは そんな簡単で難解な疑問
誰が聴いてくれる? 何を救えるの?
星空はただ 物も言わずにそこにあるだけだった


ドラムの速度で歩いていく
ベースの音にも耳をすませて
ギターの音に合わせて時々跳ねた
そんな音の波に言の葉を浮かべて…

気がつくと夜が明けていた 僕は取り残されて星になった
それは消えかけた六等星か それとも幸運の星だろうか

誰のために歌う? 何のために歌う?
突きつけられたのは そんな最小で最大の疑問
誰が聴いてくれる? 何を救えるの?
それはとても馬鹿げた 歌なのかもしれないけど

誰のために歌う? 何のために歌う?
僕は歌うよ 例えひとりぼっちになったとしても


口ずさむ新しいメロディー 産まれた瞬間から
育っていく名無しの歌よ いつか飛び立つその日まで
【airballoon over the sky】
そしてまた始まる

じゃあ、またって手を振って ひとりぼっちになった君の顔には
さっきまで誰かに見せていた笑顔が しばらく張り付いていた
本当は寂しくて 泣き出したくなった気持ちを堪えて
まだ何か言いたげに 心はぶるぶると震えていた

僕たちは約束を求める生き物だ 先の見えない未来は不安だから
ともすると僕たちは 約束に生かされていると言ってもよい
何かの終わりは 新しい何かの始まりだということ
そう思わなければ 終わりの重圧に押し潰されそうだから

坂道の途中で振り返る かつての面影は遥か遠く

何にも変われなかった また繰り返しの毎日だった
そんな気持ちでいっぱいで 青空にもお天道様にも
何だか申し訳ない気分になって 思わずうつ向いてしまうけど
ここが何かの終わりでも また何かが始まると信じている


幼子が手放してしまったのか 真っ赤な風船は重力を振り切って
街の頭上にのし掛かっている 真っ青な空へと浮かび上がった
それはどこまでも自由で 同時に寂しくもあって
笑えばいいのか泣けばいいのか よく分からない顔で見上げていた

幼子を見下ろして 風船はどんな気持ちだっただろうか
自由への安堵を感じたか それとも孤独感に苛まれただろうか
自由とは時として恐怖だ 何かに縛られている方が楽かもしれない
夢や希望もきっとそう 贖罪や諦めなんてのもその類い

君を動かすものならば なんだって構わないよ

思いの絶対値はきっと変わらない きっかけになりうるのは
喜びだって悔恨だって 君を前に進ませる動力になりうる
ということは 何もかも無駄ではないということなんだよ
ここが何かの終わりでも また何かが始まると信じている


全てが終わってしまっても 舞台からしばらく動けなかったこと
皆が馬鹿にした誰かの夢物語を 君だけが真剣に聴いていたこと
誰もがただ通りすぎるところで 君だけ立ち止まってしまったこと
皆の前では笑って見せて 後でひとりこっそり泣いたこと

何にも変われなかった? また繰り返しの毎日だった?
そんなことないだろう 同じ場所に立っている君だけど
見る人が見れば分かる あの頃とは全然変わっているってね
それと同様に 相変わらずなところもあるだろうけど

ということは 何もかも無駄ではないということなんだよ
ここが何かの終わりでも また何かが始まると信じている
【drowning】
言葉に溺れていく

「また言葉に逃げるんだな」 外見の身体がつぶやいた
中身の心は隅っこに 隠れて聴こえていないふりをしている
君は今でも 過去を真空パックすることに夢中でいる
少しの汚れも入らないように なるべくきれいに清純にと

自称詩人のあの人も いつかは現実の世界に帰って行った
なんだよつまんねぇな ずっと仲間だと思っていたのに

閉じた扉の向こうから 言葉が言葉が溢れてくる
もういいよたくさんだ 背中で必死に扉を押し留めようとする
これは本当に僕の言葉なのか 信じたくないほど汚らしい
とめどなく溢れてくる ずぶずぶと言葉に溺れていく


「また言葉に逃げるんだな」 言葉は僕を裏切らないからって
そりゃそうに決まってるだろう お前が選んだ言葉なのだから
無菌室に閉じ込めて 死ねずに磔にされているいつかの言葉
信念というよりもう洗脳に近い いつでも正しくその通りにと

夢を語りあったあの夜だけ 繰り返しループしている
なんだよつまんねぇな もう誰も居なくなっちまった

閉じた扉の向こうから 言葉が言葉が溢れてくる
こんなのは僕じゃないって 遠ざけ続けるそれはまさしく
いつか好んだ僕の言葉だった そしてここに立つ僕でさえ
未来の自分に殺される身だ ずぶずぶと言葉に溺れていく


血だらけの手で立つ僕の背中に 足音が迫ってくる
どうやらもうおしまいだ 外見の身体は覚悟した
中身の心はみっともなく いつまでも叫び続けている
まだ信じていてほしいって まだ生きていたいって

閉じた扉の向こうから 言葉が言葉が溢れてくる
それはついに僕を飲み込んだ どうやら時間が来たようだ
今度はうまくやってくれ 新しい自分に引導を渡す
とめどなく溢れてくる ずぶずぶと言葉に溺れていく

ずぶずぶと言葉に溺れていく

JUGEMテーマ:


 
【flightless】
飛ぶ日まで

それはいつかの晴れた日 君は空を眺めてて
飛びたくなくなったって 寂しそうに愚痴る
どうしようなんて そんなこと僕に聞くなよ
僕に大層なこと 言えるはずもないだろ

けど誰だってそう 何にもしたくなくなって
ただ風に吹かれたり 閉じこもりたい日々もあるだろ


だましだましやってきて 魂果てて萎れた羽
しばらく飛ぶことを忘れて 生きてみることにした
普通に買い物に行って 普通に映画を見に行って
ただ歌を歌ってみたり 何もしなかったり

街の喧騒に溶け込んで どうにだって生きてゆけるって
こだわることなんて 何一つ必要なかったんだ
それは悲しいこと? それとも楽なこと?


飛びたいと願った日々のこと まだ楽しそうに話せる?
いつか君にそう問ったら 話してくれたっけ
まるで子供みたいに 目を輝かせながら
その時の空が どんなに美しかったのかを

そして思い立って ほら!って頭上を指差すけど



そこに在るのは今日の空だった



君が思う物語通りに 世界は進んでくれない
あの頃と空の色も違うし 心も体も変わってる
それでも君は全て受け入れて 進むつもりでしょ?
分かってるって ずっと守り続けてゆくって

いつかまた飛ぶ日まで
 
JUGEMテーマ:
【hakuu】
白雨

最初の一滴が頬にはじけて しまった、と思った
それから間もなく 街は音に飲み込まれていった
僕は慌てて逃げ込んだが もうすでにびしょ濡れで
傘を差して歩く人を うらやましく眺めていた

ぽつぽつと白雨は 夕方の街に降りはじめた
その一滴一滴に 街の風景を繰り返し閉じ込めて

どうやら抜け出すタイミングを 見失ったみたいだ
空を睨みつけて 完全に立ち尽くしてしまった


傘を持たずとも 勇ましく歩く人を遠くに見つけた
その人が僕に向かって 何か言葉を叫んでいたけど
何を言ってるのか 音にかき消され聞こえなかった
その姿は いつかの僕に似ているような気がした

しとしとと白雨は 夕方の街に降り注いでいる
抜け出せなくなった 僕を置き去りにするみたいに

歩いていく背中は 雨の向こうへ小さくなっていった
あの人みたいに ずぶ濡れても歩き出す勇気が僕にもあれば
今よりはもっと いさぎよく人生を歩けたのだろうか
そんな勇気を 今さら振り絞ることもなくなったのだ


ざぁざぁと白雨は 夕方の街に降り続けている
それはとてもきれいで 長いこと僕は見惚れていた

傘を差して歩く人 開き直って濡れながら駆ける人
そして雨宿りをする人 雨はすべてを飲み込んでいく
ほんの少しだけ 立ち止まっているだけと言い聞かす
この雨が上がったら 僕も遠くへ行けるだろうか
 
JUGEMテーマ:
【Snufkin】
君の心の中のスナフキン

最近のロックンロールは もう終わってるわって言って
彼女はいつまでも 古ぼけた時代遅れのCDを回し続ける
その間にも 砂時計の砂はどんどん覆い被さっていって
何とか埋もれないように 必死で掘り返し続けている

君の心の中のスナフキンは言う

君のためだけに 歌われた歌なんて
君のためだけに 紡がれた詞なんて
そもそも最初っから そんなものなかったんだよ
君がそういう風に ずっと思い込んでいただけなのだから


音楽がないと 生きていけないって言っていたあの娘も
いつの日か マイクを置いてしまわないといけなくなったんだ
それは誰にも言えない とても寂しい決断だったけど
だけど心のどこかで 諦めてもいい理由をずっと欲していたんだ

君の心の中のスナフキンは言う

すぐに自分のこと 許せてしまうだろう
すぐ別のことに 逃げてしまえるだろう
だけどそれでも 自分の場所を見失いそうになったとき
いつだって ここに戻ってきてもいいんだよ


舞台の真ん中で ちゃんと前を向いて歌った彼も今じゃ
頭を下げて過ごす日々 足元ばかり気にして歩いて
部屋に閉じ籠っては 誰も聴いちゃくれないような歌を作って
そいつをこっそりと ネットの世界の片隅で披露するのだ

君の心の中のスナフキンは言う

何もやり方は ひとつじゃないさ
この世は全部が 大きな舞台なんだから
誰も見向きもしないなら 自分のためと言い張ればいい
どうやってでも それをやめることができないならば


毎日が冒険だったあの頃は過ぎ
輝かしい自分は今じゃもう昔話の中
暑い日には駆け回って汗かいて
寒い日には仲間たちと身を寄せ合って
終わりのない未来へ向かったんだ
そんな今僕らがいるのは
そうやってたどり着いた場所だ
だけど未だにゴールとは呼べないだろう

君の心の中のスナフキンは元気かい?
まだおんなじように歌ってるかい?

JUGEMテーマ:
【42】
42

教室の床には
紙屑がそこら中にちらばっていた

君たち教室の床はな
ゴミ箱じゃないんだぞって
先生の話も聞かないで子どもたちは
紙を切り刻むのに夢中になっている
あちこちから
チョキチョキとはさみの音が聞こえる


だって先生が言ったんじゃん…

どこからともなく声が上がる
A4の紙をひらひらさせながら
ハサミを片手にその子は言う

「だって先生が言ったんじゃん
紙を半分に切って重ねる作業を
42回繰り返すだけで
それが月まで積み上がる」って


いやいや言ったけどもだな…
だからって今やることじゃないだろう
そもそも42回も切れるわけないだろう
あれはもしもの話をしただけでだな
それより今は君たちの大事な進路の話を
しているのであってだなって
先生の話も聞かないで
子どもたちは必死になって
はさみを動かし続けてる

半分に切って重ねて
重ねては切って
切ってはまた重ねて
重ねてはまたまた切って…

学級通信も
小テストのプリントも
給食献立表も
さっき配ったばかりの
進路希望調査のプリントも
見事に片っ端から散り散りに


そうかそうか分かった分かった
先生が悪かったんだな
42回切ったら
月へとたどり着く話なんかよりも先に

教室がゴミ箱ではないことや
人の話はちゃんと聞くことや
配られたプリントを
ぞんざいに扱うなということを
教えるべきだったんだな
 
JUGEMテーマ:
【future】
未来

くたびれた大きなバスが
大袈裟に息を吐き出して発車した
窓ガラスに映るのは
やはり同じようにくたびれた顔たち
拝啓、エメット・ブラウン博士
ここにはタイムマシンもなければ
そもそも宙に浮かぶ車がない
僕たちはいつだって地を這って生きる

手のひらサイズの小さな相棒
そいつは文句のひとつも言わないで
好きなとき好きなだけ遊んでくれる
そいつはなんでも見せてくれる
行ったことのない場所の風景から
女の裸の細部の細部まで
公園で拾ったカピカピのエロ本に
ドキドキした頃が懐かしいよ

頭でっかちな子供たちへ
お前がうざいきもいと罵る大人たちこそ
お前の生きる今を作っている
例外はあるかもしれないけど
産まれる場所も環境も選べない
だけどきっと咲いた場所で笑えるよ
そしていつかそんなお前たちこそが
世界を作りかえる時がやってくるんだ

いつまでも明るい街のビルの隙間
見えない見えないと言うけれど
夜空に案外星が見えるもんだな
当たり前だが手を伸ばしても
捕まえることはできないけれど
その光は感じることができるだろう
ディスプレイに映っているんじゃない
あなたが実際に見ている光だろう


満員バス
汗ばんだつり革
客引き
歓楽街
無料案内所
ラーメン屋
ワンオペ
ブラック企業
残業
過労死
40代のステイドリーマー
夢と現実
大学受験
就職活動
ニートと社会人
SNS
掲示板
ネトゲ廃人
自称詩人
自称俳人
自称歌人

諦める
諦めない
諦め方すらもう忘れてしまった
たくさんの生傷を刻んだまま
今この場所に
立っているこの両足こそ
あの日つまづいて転げて
血だらけになった両足だ

忘れないで
その両足が歩む道の先だけが
未来と呼べる場所に繋がっていること
 
JUGEMテーマ:
【universe】
勝手に詩集『ウチュウッポイノ』

☆☆☆

プラネテス planetes

あれは遠い日のこと 僕らは真夜中に
街を抜け出して 綺麗な海へと出かけた

満天の星空に 僕らただ黙り込んで
何処にも居なくて 誰でもないフリをした
流れ星見つけたよ 指差す暇も無く
生まれた刹那に すぐに消えてった

もう輝かない石ころは 海へと放って

新しい星になった それは誰にも見つけられない
六等星の秘密のポラリス 君だけが位置を知っている


あれは遠い日のこと それぞれの旅に出た
何処にも隠れれず 僕は僕になった
流れ星気付かない 見上げる暇も無い
生まれた意味は すぐに見失うのさ


だからこそ輝くのさ 誰かに見つけてもらいたくって
誰もがきっと彷徨うプラネテス 自分と言う名を与えられて

失った記憶もちゃんと 長い旅を越えて此処にある
六等星の秘密のポラリス 君だけは位置を忘れないで

君だけは位置を忘れないで





イグニッション ignition

そしてまた君は 飛び立つ宇宙船に手を振って立ち尽くした
また会おうね。って約束も 端から果たせないと諦めてる

そして頭上には 何事もなかったように空っぽが戻ってきて
小さな君を置き去りにして 世界に蓋をして閉じ込めた

さよなら宇宙船 君は地べたを這いずり回っては
どこへも行けない理由を 必死に用意するのさ


いつでもポジティブで元気な 友達をいつも誉めて称えた
君はプラスの影に紛れて マイナスになってかくれんぼ

いつでも勇敢で人気者の 友達がずっと羨ましかった
マイナスばかり群れて 掛けてプラスになれれば世話ないけど

もうダメなんだ。とか 諦めてしまおう。とか
君が君自身を陥れようとする 呪いの言葉たちも
実は君を外の世界へ 解き放ってくれる一番の推進剤
燃やして灰になれば マイナスもプラスも区別はつかないぜ


ここに居たくない。って でも何処へも行けやしない。って
君を押さえつけてた 矛盾という名の重力の反動こそが
君を外の世界へ 解き放ってくれる一番の原動力
空はいつだって開いている 探しに行こうぜ

この広い宇宙でたったひとつだけの
君の名を冠した星に





ストレイスター stray star

似たような願い事ばっか おんなじ棚に飾られるなんて
うんざりだって 凡人なりの誇りを掲げても

寝転がって見上げた星空 期待なんてしちゃいないけど
流れた星に向かって 心の中で手を合わせてた

あの日拝んだ流れ星は
きっと君の為のものじゃなかっただけのことさ

誰も彼も笑い飛ばす 君の夢を叶えるのは
流星雨の群れを離れ 闇夜を泳ぐはぐれ星


安売りの感動に群がり おんなじ顔で泣き笑うなんて
出来なくて 誰も聴いちゃいないような歌を歌う

自分という物語には いつだって期待をしていたい
例えばそれが 思わせぶりで終わり続けても

あの日打ち切られた物語
きっとまだ終わってなんかいないだろう

誰も彼も見向きもしない 君の歌う新しい歌も
いつかきっと分かってくれる それがたった一人でも

誰も彼も笑い飛ばす 君のことも見ているのさ
流星雨の群れを離れ 闇夜を泳ぐ名前の無いはぐれ星





ミルキーウェイ milky way

この川は誰かの涙 止め処なく流れる悲しみ
水面に浮かぶ星屑は 叶わず散った誰かの願い

掬おうしても 指の隙間から逃げてゆくの


彼方の君の笑顔さえ 思い出せそうな綺麗な夜には
心の痛みを歌にして 遠い空へ向けて巻き散らした

船を漕ぐ 向こう岸まで

きっときっと 渡り切ってみせると
約束交わして 過ぎ去った日々
絶えず絶えず 僕は君を目指して
暗闇を泳ぐ 流れ星


この雨は君の涙 止まずに降り続く悲しみ
雲間に隠れた星屑は 叶わず散った僕の願い

強い風が吹いて 壊れてしまった僕の船

ずっとずっと 進んできたけれど
約束残して 消え去った光
いつか叶えと 強く願ってきたのに
向こう岸は 遥か遠く


悲しみは冷たく 沈まぬように水を掻く

それでもそれでも もがき続けるのだ
願いに底は無い 天の川よ
どうかどうか この思いだけでも
君の町に 降り注ぐ星となれ





コールドスリープ cold sleep

足元から少しずつ 冷気が這い上がってくるのが分かる
滑稽なことだ それが自分の温かさを思い出させてくれる
丸い窓には 吐き出したため息が凍り付いて張り付いた
その向こう側から 誰かが覗き込んでいるようだ

長い長い旅に出る 僕はここに寝転がったままで
いつの日かちゃんと 目覚められますようにって
願いを込めて目を閉じるよ


心臓の音がよく聞こえる 僕が生きているのは確かだ
しかしそれももうすぐ 聞こえなくなってしまうんだ
僕の身体は凍り付いて もうすぐ動かなくなってしまう
たったひとつ その真ん中に温かなままの心を保存して

長い長い旅に出る 僕はここに寝転がったままで
いつの日かちゃんと 目覚められますようにって
願いを込めて目を閉じるよ


いつの日か こんな僕でも必要になる時が来るなら
その時は また僕を起こしてくれよって
丸い窓の向こう側に居るであろう 君に言う
僕と同じ姿形をした 君に言う


僕の身体は凍り付いて もうすぐ動かなくなってしまう
たったひとつ その真ん中に温かなままの心を保存して

僕はここに居るよ ずっと生きている





クレーター crater

懐かしいね ここは君が終わった場所
同時にさ 始まった場所でもあるんだ
信じられるかい ここに確かに君は居たんだ
最後の最後まで 色んなもの守ろうとしてた

消えないでよ 何度も空に放った
祈りは果てしない 夜をいくつも越えたけど

静かだった空を 見たこともない光が
強く照らして とても綺麗だったけど


懐かしいね 時間は巻き戻ってゆく
終わることのないパーティーさ 騒がしい毎日
歌う意味を ここで確かに教わったんだ
それは昨日のように 思い出せるんだ

砂になった記憶を 手のひらで掬って
風の中に散らせば まだ無邪気な歌が聴こえる

お気に入りの場所は 今までたくさんあった
いつだってそう お終いには全部壊されて
さようならさ 降り注ぐ星に見とれてた
それは君に 大きな穴ぼこを残したよ


今でも この胸に
いつでも

痛かった記憶は 少しだけあるけど
いつだってそう お終いには優しさだけが残るの
ぽっかり開いた穴ぼこの淵で 歌ったんだ

さようならさ 降り注ぐ星に見とれてた
そして君は 新しい旅に出たんだ





ラッキースター lucky star

暗闇にまぎれて 人知れず夢を見る
誰にもバレなきゃいいやと
喋らないで終わらせる ひっそり心の奥で
勝手に決着をつけて

後に残るものは空しさだけ それが積み重なって
取り囲まれて途方に暮れる頃

「こんなはずじゃなかった」 そんな短い言葉が
はじめて音をまとって零れた


そして君は歩き出す 空っぽの心に
たったひとつ誓いを詰め込んで
誰も気付くことはない 君だけの戦いが
ここであったこと

にぎやかな街の向こう側から 聴こえてくるのは
君を知ろうともしない 馬鹿な奴らの声

「君は君のままでいい」 なんて誰かが言ってても
もう胸張って 信じてる場合じゃないのかも
優しさばかり着飾った うわべだけの言葉だけで
簡単に片付けられるような 日々じゃないよな


ほらもう夜は明けはじめてる
君だけが見届けた終わりとはじまり

「君は君で笑っていて」 そんなきれいな言葉も
もう擦り減って 頼ってる場合じゃないけれど
心の奥に最後まで ほのかに残る温もりを
抱きしめてまだ歩けるよ 君だけが見つけた光の射す場所まで





ベイビースター baby star

ひとり部屋にうずくまって 灯りという灯りをすべて消すと
明るい世界に すっかり目が慣れていたせいで
その刹那 僕は自分の手のひらの位置すらすぐに見失った
僕はここに居ながらにして 宇宙へと旅に出たのだ

いわゆる本当の僕ってやつは 何処かに置き忘れたっけな
かつて暮らしていたあの街で 雨粒に濡れて震えているか
もしやあの人に預けたまま 返してもらってないのかもしれない
邪険にされてないとよいが 願わくば残っていてほしいが

人は生きているだけで 与えているのだという
ともすれば それは受け取っていることと同義だ
それならば 僕は僕が受け取ったものをどうしたのだろうか


いつかあの海で見上げた夜空 星々は犇めきあって輝いていた
互いに寄り添い合っているように そんな風に見えたけど
その実きっと 星々の間には途方もない隔たりがあって
互いに出会うことなど 以ての他ないことなのだろう

繋がっているように思えて 全く以て浅かったのだ
誰彼の名がゲシュタルト崩壊し始めた そこではじめて気がつく
僕らもあの星と一緒なのかもしれないと


たまらずに僕は暗闇の中を探した
何処かに光はないものか!
ディスプレイに散らばるSNSやブログの中
何処かに光はないものか!
片付かないままの引き出しの中
何処かに光はないものか!
かつて書きなぐった詩集ノートの中
何処かに光はないものか!

何処かに光はないものか!


人は生きているだけで 輝いているものなのだと
ともすれば 僕だって輝いていることと同義だろうか

どんなに与え続けても どんなに失い続けても
決して完全に消えることはないのだ そんな光のことを
僕たちは"心"と呼んだ 生きとし生けるすべてに宿った
途方もなく広い宇宙に浮かぶ 微かだが確かに輝く赤子の星の名だ

☆☆☆

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